ギャラリストのよしなごと

アートを家に!

必要のない情報

小説というのは、“何を書き”、“何を書かないか”が全て書き手に委ねられている。 何を当たり前なことを言い出すのだ、と思われるかもしれないが、まぁお付き合い願いたい。 背景の描写について少し考えてみよう。 映画の場合、そこに役者を立たせただけで、観…

人生ドラマ

仕事を終えて家に帰ると、私は1時間程度ドラマを見ることを習慣としている。 リラックスするためにフィクションの世界に身を投じる私なのに、気づいてみれば手に汗を握って自分のことのように真剣そのものでのめり込んでいてすっかり肩が凝ってしまう。まさ…

アートは観るだけ?それとも買う?

美術館でアート作品を見て回るのが好きだ、という人は本当に多い。しかしアート作品を買うとなるといきなりアートの敷居は高くなるものだ。 ギャラリーに入ってくるお客の中には、“私はただ作品を見たいだけですから。買いませんから!”としきりに予防線を張…

当たり前は明日を変える力

私の仕事の中心はといえば、アーティストとのやりとりである。 私たちは日本の現代アートを扱うギャラリーだから、私たちと一緒に仕事をするのは日本人アーティストであり、彼らのほとんどは日本の地で暮らしている。 この日本とドイツの距離感を埋めていく…

おしゃれ

ずっと気になっていた洋服の整理を丸一日がかりで行った。 まるで思い出の写真を保管するかのように、私はもう着もしない洋服をそこここに押し込んでいて、私の洋服ダンスはまさに私のミュンヘン暮らしの歴史が丸ごと詰まっているような気がした。 そこに染…

特別な存在

子供にとって親とは本当に特別な存在である。 兄妹同士なら無神経なこと言い合い、互いに傷つけあうことなんて平気でできてしまうのに、親には触れてはならない領域があるのだ、ということを私はちゃんと心得ていたような気がする。 両親はもちろん私と同じ…

佇まい

父は骨董収集が趣味で、私は子供の頃から古い食器に囲まれて育ってきた。 私たち家族が日常に使っていた食器の多くはそれなりの価値があったのだと思う。しかし父はたとえそれらを子供の私たちが壊しても叱ったり、残念がったりすることは決してなかったので…

どうぞよろしく!

好きな人と一緒に暮らす、それは初めのうちは互いの何もかもが珍しくて、ふわふわと浮かれた薔薇色の空気に中に包まれているが、誰だっていつかはその目新しさも薄れてしまい、二人にかけられていたロマンチックな魔法が徐々に消えていくものである。実はそ…

プレゼント

年齢を重ねるにつれて一年が飛ぶように過ぎると感じるのは、新しい経験をすることが乏しくなり、漫然とその日を暮らしてしまうからだ、と言われる。 もう11月か、と思うと確かにこの一年も瞬く間にすぎた気がする。 でもここでちょっとキーボードを叩く手を…

私の中で

私の両親はどうしてこういう二人が夫婦として長く一緒に暮らすことができただろうか、というほど違った人間性を持っていたのだが、唯一二人の好みが一致したのが民芸品や骨董のたぐいを集めることだった。 父は豪快に骨董品を買ってきたし、母はそれらを上手…

理想の男性

あれは私が15歳の時だったと思う。 母と一緒に繁華街に買い物に出かけ、あちこちのショーウィンドウを冷やかしている時、母は唐突に私にこういった。 “あなたがいずれ大きくなって好きな人ができたら、それはあなたのお父さんみたいな人だとおもうわよ。娘っ…

お人好し

私はたまに子供向けの本を読むことにしている。 普段知ったかぶりの仮面をかぶって生活をしている私は、実のところ多くのことに対して無知なまま大人になってしまったとつくづく思っている。 だからと言って今から専門的な話を読むのはついていけそうにない…

時間制限なし

若い人はご存じないと思うが、昔の映画館は一度チケットを買い求めたら延々とそこに居座ることができた。 さらに大抵映画は二本立て、話題作ともう一本、低予算で作られたB 級映画が抱き合わせになっていた。 それを二度三度と繰り返し観ようものならば、そ…

それでいいのだ

アートのことってよくわからなくて。。。と言われることがしばしばある。 そんな時、気の利いた返事ができればいいのだけれど、大抵私は”そうそう、よくわからないよねぇ!”とつい同調してしまう。 すると”えっ?、あなたギャラリストじゃない?アートのこと…

目からウロコのアートの世界

”ま、しょうがないか!” 新型コロナウィルスの影響で全てのお店を休業する、とのお達しを受けた。 今回の流行病はほとんどの人が罹患しても軽い症状とはいえ、自分が高齢者、既往症のある方々に菌をばら撒くことはできるだけ避けたいところである。 家ででき…

私みたいな人です!

「どんな人がアート作品を買っていくのですか?」 二週間くらい前だろうか、15〜16名の大学生がギャラリーを視察に来て、私にいろんな質問を浴びせかけた。 アートマネージメントを勉強している学生たちだ。 私はもらったその問いにすぐには答えず、同じ問い…

アートを買ってみたい人への5つのアドバイス

「アートのことは全くわからないし、心を動かされたことなんて一度もない。」 そう言ってギャラリーに入ってきた男性がいる。 それならばどうしてギャラリーなどに足を踏み入れる気になったのか、と思うが、とにかく好きでもなんでもないと言いつつも中に入…

アートは投資?

欧米で何かしら人気が高まると、日本人は早速その情報を仕入れて便乗したくなる。 日本は独自の素晴らしい伝統文化と奇妙奇天烈なサブカルチャーという二つの相反する世界にも稀に見る面白い文化を抱えていながら、未だに欧米文化にコンプレックスを持ってい…

検証!アート作品の価格は適正なのか。。。

アートギャラリーやアートフェアを訪れた人なら、作品の値段の高さにびっくりしてしまった経験はあると思う。 私はギャラリストだが、自分でも時々気に入った作品を買い求める。 自分のギャラリーの作品の価格に対しては、適正価格だ!と思えるが、一旦、自…

どんなアートをお家にかければいいのか。

今日日、現代アートブームだ。 現実感の全く湧かないほど高額落札をしたアート作品の話題がニュースを騒がせたり、政治的意図と文化的な意図が絡まり合って、現代アート作品が大きな論争を起こす、そんなこともメディアで度々報道をされる。 しかしながら、…

家にアートを飾るためのアドバイス4つ

お客さんが絵をお買い求めになると、必ず私は尋ねる。 「ご自分で絵を掛けることはできますか?もし不安があるならば、私がかけて差し上げることもできますよ。」 お客の約7割は、それじゃあ、お願いします!となり、私は絵をかけるサービス業者に変身。 こ…