ギャラリストのよしなごと

スポ根

 

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スポーツが嫌いだ。

 

健康のために身体を動かすことの重要性は誰も知っているし、身体のみならず精神を鍛えることにも繋がるわけだから、世の中にスポーツを悪くいう人は誰もいないはずだ。

特に年齢が上がってくると新陳代謝は落ちてくるし、足腰も弱ってくるのだから、高齢になるまでにきちんと運動する癖をつけておかなければ、”困ることになるヨォ!”と脅すかのような情報を見るにつけ、私の気持ちの中に複雑な思いが走る。

 

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実は私、スポーツができない方ではない。

私の姉のようにスポーツ万能な人と比べてしまったら為す術もないが、人並みには一様なんでもこなすことができる。

走るのだって遅くはなかったし、水泳だって普通以上には泳ぐことができたと思うし、球技などのチームプレーも目を引くほどに活躍することはしないでも、”残念な人”にはならない程度の力量は発揮していたように思うのだ。

それならば健康のためにスポーツを始めればいいのに。。。とも思うがどうにも腰が上がらない。

外出制限が敷かれていた時にも、色々な人からジョギングを勧められたり、”一緒に走ろう!”などとも誘われたが、渋り続ける私から皆いつの間にか去っていった。

 

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何が私をそんなにスポーツから遠ざけるかといえば、その”スポーツの明るさ”からなのだ。

輝く陽の光の元、額に玉の汗を浮かべて行うスポーツに暗さはどこにもない。

むしゃくしゃすること、陰鬱な自分の感情を汗とともに流し出してしまう。

それが心身共に健康に導くスポーツの良さなのだろうけれど、私にはどうしてもその真っ青に晴れ渡ったような世界が眩しすぎるような気がする。

身体を動かしたくない言い訳に聞こえるかもしれないけれど、ちょっとどこかに影のある世界の方が居心地がいい。

 

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スポーツを好んでやる人たちには共通した性格があるように感じるのは私だけだろうか。

カラッと乾燥した陽気さがとても気持ちがいい。

良い意味で深読みをしない性格はまっすぐで純粋だ。

私のようにうじうじと深く考え込んだり、人の裏の裏を読まずにはいられないひねくれた性格らすると羨ましくてたまらない。

そんな人たちの中にいると、自分のはっきりしない性格が際立ち、いじけたような考え方しかできない自分をより情けなく感じてしまうのだ。

スポーツ愛好家たちのまばゆい笑顔の前に、どこか後ろめたいような気持ちが起きてしまうことがスポーツから距離を置きたい大きな理由のような気がする。

 

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そういえば、私が教員をしていた頃のことが思い出される。

校庭を掃除していた男子生徒たち数名が体育の先生に絞られていた。

”いったいどんなことで叱られているのだろう”、と大声を張り上げているその体育教師の話に耳を傾けてみた。

どうやら生徒たちは掃除道具をおもちゃのようにして遊んでいたらしく、そのことを彼はひどく怒っているようだった。

確かに生徒たちのやっていたことは褒められたことじゃない、体育教師が彼らに説教をしたくなるのは当然だった。

ところが。。。

その彼はまだ拗ねたような態度をし続ける生徒たちにどうにも腹の虫が治らなかったらしい。

彼は一層大きな声を出した。

 

「お前ら、ホウキとちりとりに謝れ!今すぐ謝れ!」

 

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”道具を粗末に扱うことは、引いてはそれを手にする自分を荒々しく扱うことと同じなのだ”と私だったらそう子供達を諭すだろう。

”ホウキに謝るだなんて。。。”と私はおかしくなってしまった。

けれど彼の論理はとても子供じみてはいるが、からりと揚がった揚げ物のような軽さがあった。

生徒たちは砂埃の舞う校庭の土の上にコロンと転がったホウキとちりとりに向かって大声で、”すみませんでした!”、”ごめんなさい!”と口々に言い、腰を90度に曲げるようにしてお辞儀をした。

その先生はその様子を見て満足そうに頷き、”よぉし!!!”とびっくりするほど大声を出し、生徒たちのか細い背中をバンッと叩いて豪快に笑った。

 

 

カランと響いた音が鳴るようなそんな叱り方に、スポ根の真髄を見たような気がした。

 

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お腹周りにいつの間にかついたぷくぷくした贅肉を見るたびに、”明るいスポーツ”だなんて捻くれていないで。。。と諌める思いがふわりと浮かんでくる。

”じくじくとした陰湿さを少し吐き出して、気持ちのいい風を吸い込んでごらんよ。”との心の声も聞こえる。

 

始めてみようかな、ジョギング。。。

 

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