ギャラリストのよしなごと

断捨離

夏の花

 

朝起きたら筋肉痛で、昨日の肉体労働が蘇ってくる。

 

昨日は朝からお天気はいいのに、秋を思わせる涼しさが心地よかった。

”こんな日に倉庫の掃除をしなくていつやるの?”と心の声が聞こえてきて、延し延しにしていた倉庫の断捨離を決行する事にした。

 

一人住まいにしてはかなり大きな家で、さらに大きな倉庫が地下と、外に合計3つもあるので、普段からついついとりあえず必要のないものを倉庫に突っ込んでしまう癖がついてしまった。

一人ならばさほど荷物はないはずなのだけれど、実は私の場合、アーティストの作品、ギャラリーの備品、梱包資材など仕事に関するものを全て家の倉庫に納めている。

これが結構な量で3つある倉庫は満杯状態になっている。

 

タデの花

 

倉庫の中で一番場所をとってしまっているのは、実は梱包資材。

アーティストたちにとっては、自分の作品はまさに我が子同然なので、輸送途中に破損することのないよう、まさに真綿で包んだように厳重に梱包をして作品を送ってくる。

この梱包の仕方こそがアート!と思わせるほど、工夫に工夫を凝らしてあって、本当にアーティストたちの創造の力と手先の器用さに感嘆してしまう。

そんな芸術品に近い箱を誰が捨てられるだろうか。

 

紫陽花

 

コロナ以前から徐々にアートの世界はネット販売に移行してきた。

それがコロナウィルスというトンネルの中に入った今、作品のほぼ80%はネット販売へと変わったしまったのだから、驚きである。

 

まだインターネットショッピングがそこまで一般的ではなかった頃、知り合いの女性が私に話したことをとてもよく覚えている。

 

「靴だけはネットで買うものじゃないわ。

ちゃんと試しに履いて歩いて、自分の足と相談してからじゃないと買えない。

ネット販売は広がっていくだろうけれど、向き不向きがあるから、何でもかんでもネットでは売れないわよ。」

 

彼女は今この情勢をどう思っているだろうか。

アートさえネットショッピングが主流になってしまっていることを彼女に知らせたら、卒倒してしまうのではないだろうか。。。

 

トマト

 

とにかく私の仕事はこのネット販売のおかげて大きく変化しているのだ。

毎日のように段ボールと格闘して作品に見合った箱を作り、作品が壊れないように緩衝材を入れて購入者に送る。

これが日常的な私の仕事になってしまって、ギャラリーは箱作りと梱包専門店のような様相を呈している。

 

大きな段ボール紙から作品に見合った箱を作るのは問題ないが、必ず端くれが残る。

これが厄介な存在になるのだ。

残った段ボール紙は、次の箱を作るには”帯に短し襷に長し”状態で、でも残った紙を捨ててしまうのはもったいない。

”残った紙は小さな箱を作る時に使えるかもしれない。”
”箱の一部に利用できるかもしれない。”

そんな”○○にできるかもしれない”という状況は、現実にはそうそうやってこないもの。。。

長細く残った段ボール紙、中途半端な大きさの段ボール紙。。。そんな出番がなくなってしまった残り物が倉庫の中には重なり合って、折れ曲がってたくさんあった。

一つ一つの端くれの大きさを確かめて、捨てるものと残すものを選んでいきながら思った。

使用されないまま残り物になって、そして捨てられていくそれらの運命を。

 

深緑

 

リサイクルセンターへ不要物を運ぶために、ギャラリーオーナーにその仕事を手伝ってもらった。

車いっぱいに詰め込まれた段ボールの切れ端や、壊れてしまった椅子、調子が悪くなってしまった印刷機。。。それらを捨てる段になってオーナーは私に言った。

 

「分別のコンテナにそれらを投げ入れる前に必ず言おうじゃないか。

”ありがとう、またどこかで会おう”ってね。」

 

オーナーにしてはなんと細やかで優しさに満ちているじゃないか。

私は彼の顔をまじまじと見てから、”そうだね!”と笑って返事をした。

 

観葉植物