ギャラリストのよしなごと

ギャラリー

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ギャラリーは今のような世知辛い時代には稀有な存在だと私は思っている。

美術館のようにアートを鑑賞するためにお金を支払う必要もなく、またアート作品にちょっとでも近づき過ぎると、警報がなって学芸員の威圧的な目に怯える、なんてこともない。時には作品を手に取って思う存分眺めることすらできるのである。

また好きなだけギャラリストに質問もできるし、あなたの意見にもしっかりと耳を傾けてもらえる場所でもある。

(なんなら好きなアート作品を自分のものにもできるのである。)

こんなにサービス満点な場所ってそうそうないのではなかろうか。

 

その代わりと言ってはなんだが、ギャラリーには大いに偏りがあるのは事実だろう。偏りとはギャラリーが打ち出す路線であり、またギャラリストの嗜好というフィルターのことである。

ギャラリーにあるアート作品からアーティストの主張を受け取ることができるのは言うまでもないが、同時にそこにはその売り手であるギャラリストの考えも付随してみて取れる。

だからお客の立場からいえば、自分と相性の良いギャラリーを見つけることができれば、もしかしたら美術館よりずっと快適で楽しい時間を過ごすことができるかもしれないと私は思う。

 

ギャラリストの嗜好や考え、あるいは方向性を比較できるところといえば、やはりアートフェアだろう。

私はアートフェアのブースをそれぞれ回ってみながら、ギャラリストの性格や好みを想像するのが好きである。

ペットとその飼い主が非常によく似ているように、それぞれのギャラリーが取り扱っている作品とギャラリストの雰囲気は実に似ていて面白い。

私は自分のことはよくわからないけれど、きっと私たちのギャラリーも私たちの人となりと似ていると思われているのではないだろうか。

いわば、私たちのギャラリーを贔屓にしてくださる人々は、私たちの姿勢や考えに共感してくださっているということであり、また私たちに票を投じてくださっていることだと言える。そう思うとまさに身が引き締まる。

そして私は自分自身にもっと磨きをかけていきたい、より良いギャラリーを育てていきたい、そう強く願うのである。

 

今日紹介するのは泉とうこさんの180 x 360 cmの超大型作品である。

この作品は技術的にも内容的にも実に完成度の高い名作であり、泉さんの全てを投影しているように思う。

この作品を当ギャラリーで見せることを私はとても誇りに感じている。またこの圧倒的迫力のこの作品に私たちのギャラリーは果たして見合っているのだろうか、と私はこの絵の前で毎日のように自問している。

 

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